老人福祉法関係

厚生労働省、有料老人ホームの指導強化について通知を発出(H26.7.3)

 7月3日、厚生労働省は都道府県、指定都市、中核市宛てに「有料老人ホームを対象とした指導の強化について」の通知を発出しました。
 これは、昨年11月に実施した未届ホームの把握等のための「第5回フォローアップ調査」の結果報告から、今後の高齢者向け住まいを適切に確保する上では、地方公共団体による一層の指導強化が必要であることを示すものです。
 そこで、5項目の通知内容についてご説明いたします。

1.フォローアップ調査の結果について

 有料老人ホームは老人福祉法で地方公共団体への届出が義務付けられていますが、厚生労働省が継続的に行っているこの調査では未届件数が増加している実態が確認されています。これは、地方公共団体による実態把握が進んだことが大きな理由ですが、厚生労働省では、さらに未届ホームの届出を促進し、消費者保護の観点で指導監督が及ぶようにしたいと考えています。

2.前払金の保全措置の状況について

 有料老人ホームの前払金保全措置は、平成18年4月1日以降に事業設置届を受理されたホームに法律で義務付けられ、同年3月31日までに事業設置届を終えたホームには指導指針上で努力義務が課されています。
 上記のフォローアップ調査結果でも、保全を義務付けられたホームに未保全の事業者が多く存在することを指摘し、「違法事業者」の存在が「有料老人ホームの市場全体を揺るがしかねない事態である」と強い表現をしています。地方公共団体に対しては、違法事業者への周知徹底、及び指導を求めました。また、保全を講じない事業者には老人福祉法に基づく罰則を適用するよう求めています。
 厚生労働省は、通知の中で本協会の入居者生活保証制度についても言及しています。

 例えば、保全措置を講じる意思はあるものの、取引条件等で銀行保証等を利用することが困難な有料老人ホーム事業者に対しては、必ずしも担保を必要としない「公益社団法人全国有料老人ホーム協会」による「入居者生活保証制度」を活用することなどが考えられるので、適確な指導をお願いしたい。

 前払金の保全措置には、銀行保証や信託商品など様々なものが出回っています。事業者によっては手続きなどで保全措置を利用しにくい場合もあります。こうした場合には、本協会の「入居者生活保証制度」を検討、活用するよう、地方自治体に事業者への指導を求めています。関連して、保全措置を講じない事業者には、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金が課せられることとなります。
 入居者生活保証制度は、他の保全措置(銀行保証、信託等)とは異なる仕組みで、事業者が倒産した場合に支払う保証金は前払金の額にかかわらず500万円で、入居者がホームに住み続ける限り終身にわたって保証が続くことが特徴です。
 さらにこの制度は、本協会に入会した会員事業者のみに利用が認められており、登録ホームの入居者は、前払金の返還保証という金銭メリットだけでなく、本協会が会員事業者を質の向上、経営の安定化等の様々な面で支援しているメリットも享受できます。

3.有料老人ホームの定義について

 平成24年4月1日付地域分権法施行により、有料老人ホームの届出や指導監督は、指定市や中核市に権限委譲されました。これに伴って、地方公共団体ごとに「有料老人ホーム設置運営指導指針」が作られるようになりました。
 厚生労働省では、未届ホームの届出をさせるために必要があれば、指導指針への適合を図る上で基準そのものを緩和し、段階的に適合させる、などの柔軟な対応を求めました。

4.地方公共団体における取組の促進について

 特に、未届ホームや前払金未保全の違法事業者が多いホームを所管する地方公共団体に対しては、厚生労働省から直接状況確認等が行なわれます。
 この中で、本協会についても記載があります。

 なお、老人福祉法第30条第1項において、有料老人ホームの入居者保護と有料老人ホームの健全な発展に資することを目的とした法人として「有料老人ホーム協会」を規定しており「公益社団法人全国有料老人ホーム協会」がそれに該当することから、地方公共団体におかれては、同協会との連携を図りつつ、管内の有料老人ホーム事業者に対する指導を徹底することをお願いしたい。

 本協会では設立以来、経営適正化支援、日常支援、消費者保護の役割で、日常的に地方公共団体との連携を図っております。また、会員事業者の法令遵守についても支援を行っています。地方公共団体が行う業務の一端を担っています。

5.有料老人ホームに対するスプリンクラー設置の促進

 来年4月1日付で施行される消防法施行令では、主として要介護者が入居するホームにおけるスプリンクラーの設置義務について、従来の「建築面積275m2以上ルール」が撤廃され、面積を問わず義務付けられます(建物の構造により緩和措置があります)。
 そこで、地方公共団体に対して建物の改修実施の指導を求め、国または都道府県の補助金等を活用して既存ホームのスプリンクラー設置に努めるよう求めています。

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